Column

世界の海辺

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ずいぶん久しく間をあけてしまいました。前回の「キューバその3」の日付を見ると、2012年9月21日となっています。ネット世界の時間からすれば化石のようですね。すみません。でも、この記事の更新をしてくださっている(株)シックスの山下さんから、多くの方が見てくれていますよと聞いて、これはいかん、姿勢を整えなければ、と思いました。更新頻度を改善するために、ちょっとスタイルを変えます。毎回5点ほどの写真と短かめの文章で作ってみます。あらためてよろしくお願いします。

イタリア・ヴィアレッジョは、高級大型ヨットを造るメーカーが軒を並べる造船の町として海の世界では知られている。観光案内書には、長いビーチを持つ夏のリゾートタウン、そしてカーニバルの有名な町として書かれている。毎年2~3月に行われるヴィアレッジョのカーニバルは、映像でしか見たことはないが、盛大でありながら、素朴な雰囲気も感じられてとても楽しそうだ。

町は港の入口から内陸へと続く細い運河をはさんで、(海側から見て)左側がビーチリゾート、右側が造船町とはっきり分かれている。港内に入ると右側に大きなマリーナがあり、それを取り囲んで造船所の建屋が並んでいる。

ヴィアレッジョに本拠を置くヨットメーカーの代表格は、ペリーニ・ナヴィというハイエンドブランドだ。世界の大富豪たちを顧客に持つこの会社が造るのは、全長30メートルを超えるヨットばかり。こうした超大型の船は、スーパーヨット、メガヨットなどと呼ばれている。 しかし私がこの町を訪れた第一の理由は、そちらではなかった。ここにフランチェスコ・デル・カルロという名の造船所があるからだ。こちらは伝統的な木造の船の修復を専門にする家族経営の会社だ。

2007年初め、このフランチェスコ・デル・カルロ造船所に一隻のぼろぼろになった大型の木造ヨットが運び込まれた。「アイリーン」という名の、今から80年ほど前に建造されたそのヨットは、朽ちる寸前のところを救われてきたのだ。救ったのは、イタリアの高級時計メーカーだった。「アイリーン」はこの造船所で新たな命を吹き込まれ、見事に甦ることになる。その過程を追う幸運を私はいただいた。

2014年6月1日

 

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矢部 洋一[ヤベヨウイチ]プロフィール

1957年11月11日生まれ。海をフィールドとしてヨット、ボートの写真撮影を中心に、国際的に活躍するフォトグラファー。
写真だけでなく、記者、編集、翻訳などの仕事を精力的にこなす。
●株式会社 舵社・チーフフォトグラファー ●有限会社 オフィスイレブン代表取締役 ●英国王立オーシャンレーシングクラブ誌「シーホース」特約記者

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